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サプリ入門5

オメガ3が「老化を遅らせる」と言われる理由。EPA/DHAの抗炎症機序を論文で解説

オメガ3の摂取が少ない状態は、慢性的に全身の炎症レベルが高い状態と等しい。この「見えない炎症」は皮膚・脳・血管を同時に老化させ続ける。

−13%

心血管イベントリスクの低下(メタ解析 REDUCE-IT 2019, n=8179)

「魚を食べていれば十分」は本当か

サバ・イワシ・サーモンを週2〜3回食べている人は、確かにオメガ3の摂取量が多い。しかし現代の食環境では、これを実践できている人は少数だ。

問題は量だけではない。日本人の食事ではリノール酸(オメガ6)の摂取が増加しており、オメガ6:オメガ3の比率が悪化している。理想的な比率は4:1以下とされているが、現代の食事では15〜20:1になることも珍しくない。比率の悪化はそれ自体が炎症を促進する。


論文が示すこと

EPAとDHAがそれぞれ異なる経路で炎症を抑制する

EPA(エイコサペンタエン酸)はプロスタグランジン・トロンボキサン・ロイコトリエンという炎症性エイコサノイドの産生を競合的に阻害する。簡単に言うと、炎症を「作る材料」を奪うことで炎症反応を抑える。

DHAは脳・神経系の細胞膜構成成分として機能し、神経炎症を抑制する。加えて、DHAから生成されるレゾルビンとプロテクチンと呼ばれる物質は、炎症を「積極的に終わらせる」シグナルとして働くことが判明している(Serhan, 2014, Nature)。

テロメアとの関係も注目されている。UCSF研究(Farzaneh-Far 2010, JAMA)では、血中オメガ3濃度が高い群ほどテロメア長の短縮が遅いことを示した。5年間の追跡で、最高四分位群は最低四分位群と比べてテロメア短縮が有意に少なかった(p=0.02)。

心血管系への効果ではREDUCE-IT試験(2019, NEJM, n=8179)が1日4gのEPA製剤(イコサペント酸エチル)で心血管イベントを25%低下させたことを示した。

25%心血管イベント低下率(REDUCE-IT試験, EPA 4g/日, n=8179, 2019)

具体的な対策

EPA+DHA 合計2g/日が実用的な出発点

食事からの摂取が困難な場合、魚油サプリが効率的な選択肢だ。品質の要点は①EPA+DHA合計量(合計1〜2g/日)、②酸化防止処理(アスタキサンチン・ビタミンE配合)、③トリグリセリド型(再エステル化型)の3点だ。

エチルエステル型は吸収率がトリグリセリド型の70%程度とされる(Dyerberg 2010, Prostaglandins)。高品質製品を選ぶ際はトリグリセリド型表記を確認するか、「re-esterified triglyceride」の記載を探す。

摂取タイミングは脂肪の多い食事後が最も吸収率が高い。空腹時は避けるべきだ。魚臭い「魚臭い逆流」が気になる場合は、冷凍保存してから摂ることで軽減できる。

この記事で取り上げた成分

S複数の比較試験で確認

オメガ3(EPA/DHA)

EPA・DHAが炎症経路を複数のメカニズムで同時抑制。心血管・テロメア・神経保護のエビデンスが最も厚い基本サプリ。

摂取量が少ないほど全身の炎症レベルが高い状態が続く。今すぐ改善できる「底上げ」成分。

Omega-3 Fish Oil 1400mg(EPA700/DHA500)

高濃度EPA+DHA。抗酸化配合約¥3,500/月
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A厳密な比較試験で確認

クルクミン(ターメリック)

NF-κB経路の阻害によりオメガ3と異なる経路で抗炎症作用を発揮。Inflammaging対策の相乗効果が期待できる。

クルクミン単独の吸収率は低いが、ピペリン(黒コショウ)や脂質と一緒に摂ることで大幅に改善する。

Jarrow Curcumin 95 500mg(ピペリン配合)

ピペリン配合で吸収率20倍約¥2,200/月
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よくある質問

アマニ油・チアシードのオメガ3はどうですか?

アマニ油・チアシード・えごま油はALA(アルファリノレン酸)というオメガ3前駆体を含みます。人体はALAをEPA・DHAに変換しますが、変換効率が非常に低く(5〜10%程度)、抗炎症・テロメア・心血管への効果を期待するには不十分です。植物性オメガ3は補完的な食事改善として有効ですが、EPA/DHAの代替にはなりません。

どの製品を選べばいいですか?

最低限のチェックポイントは3つです。①EPA+DHA合計が1カプセル500mg以上、②酸化防止成分(ビタミンE・アスタキサンチン)配合、③IFOS(国際魚油基準)またはUSP認証。価格が安い製品は酸化した魚油を使っていることがあり、酸化した油は逆に炎症を促進する可能性があります。コスト削減より品質を優先すべき成分のひとつです。

オメガ3と血液サラサラ系の薬は一緒に飲んでいいですか?

オメガ3には血小板凝集抑制(血液をサラサラにする)作用があるため、ワルファリン・アスピリン・その他の抗凝固薬・抗血小板薬を服用中の場合は必ず医師に相談してください。4g以上の高用量では特に注意が必要です。一般的なサプリメント用量(1〜2g/日)では大きなリスクは報告されていませんが、薬との相互作用は個人差があります。

この成分、今のサプリでカバーできていますか?

7軸診断で、現在のサプリが抗老化・肌・脳・ストレス・睡眠・免疫・代謝をどこまでカバーしているかを確認できます。 足りていない軸を埋める成分が分かります。

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